迷うとかいうレベルじゃねェ。









バトンストーリー









おれは迷子なんかじゃない。

って、信じたいんだけど、これ…明らかに迷ったよ!?

だって…


「前はー砂漠かー。」

「右もー砂漠かー。」


「いや、でも、左はーーーーーー砂漠だなー。」





「ならせめて後ろは!………………やっぱ砂漠だよなァ…。」





……。

まじで……砂漠?



「いーやーだー!たーすーけーてー!(訳:いやだ!助けて!)」



……。




「あー!こーんーなーとーこーろーにーたーかーらーばーこーがー!(訳:あ!こんなところに宝箱が!」(宝箱はありません。)




……。



なんで誰も来ないんだよ!

こんな美少年が困ってんやで!?

ありえない…。

なんか人が来そうなこと………!!



「今なら陸斗さんのサインあげちゃう!」



…。

うん。やっぱ無理か。

どうしよっかな…。


……っは!


そーいや、おれ、ケータイ持ってんじゃーん。

なんで、早く思い出さんかったんやろ。



ジーパンのポケットからケータイを取り出す。



最近、行く予定はないんだけど、海外でも使えるっていうケータイに変えたんだ。

よかった。ここから出られるよ、マミー。

おれはケータイを開く。

そこには……



「圏外…??」



………。



「はぁっ!?圏外ってなんでやねんな!!ここで使われへんのやったら、海外に行ったって使われへんわ!」


叫びながら、ケータイを投げつける。


「あ、あかん。ケータイに砂が入ったら使えなくなる。」


そう呟いて投げつけたケータイを拾う。


今投げたのは、おれなんだけどね…。

でも、これ、最新なのよ。壊したくないじゃん?

ケータイについた砂を掃い、またポケットに戻しておれその場に座り込む。

もうどうしようないのかな…。

なんか、いい案考えないかんな…。




グゥーー…。




…腹減った。


「こんな時にはコロッケパーン!!」


おれはカバンからさっきジェルマで貰ってきたコロッケパンを取り出す。


「…あ、ジョーンごっこしよう。」
(ジョーンごっことは、○ダギリジョーのラップのCMの真似をすることである)


おれは、すくっと立ち上がり、袋から中身を取り出しバリバリと食う。


もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ…。



喋らず、黙々と食べ続ける。



もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ…。



「『もっしゃもっしゃ』てなんなんだ!!何がジョーンごっこだ!!コロッケパンをバリバリ食えるかー!!」

いくらおれがオダ○リジョーみたいにかっこよくたって無理。

それに、コロッケパンにおまけみたいに付いてる野菜って、あんまり「新鮮っ!」って感じじゃないし。

でも、せっかくの真似っ子チャンスだったのにな。

ジョーンごっこできたかもしんないのに。

ジェルマでサラダも貰ってくればよかった。

あ、でも、コロッケパンのCMならオファーが来るかもしれない。

でも、断わろう。

ジョーンみたいにかっこよく食べれないからって言って断わろう。

『もっしゃもっしゃ』だもんな…。

…あー、暇いな。

ジョーンごっこもすんだし、やることねェなァ。

ここ砂漠だもんなー…砂漠、砂漠、さばく…さばく?…あ!


これ、西遊記の真似とかも出来るんじゃねェ?

前の月9で砂漠のシーンあったもんな!!


「ウキャキャキャ……ウキー!!」






……。寂しい。





でも、やっぱ、やるからには主役だろうと思ったんだよねー。

カッパとかの真似ってどうやっていいかわかんないしね。

あー。せめて、晃も一緒にこっちに来てくれてたら飽きなかったのになー。

あいつ、おもしろいからなー。

あー。おれ、ここで干からびて死ぬのかなー…。

やだなー。

干からびるっておれのかっこよさが綺麗に失われるじゃんねー。

どうせならかっこよく死にたいなー。



あ…、どうしよう。

三途の川を渡る前から死者の使いっぱしりが来たよ。



「だれが使いっぱしりじゃ!ふざけるでない!」



うわー。ぼろい服着て、変な杖ついて、白髪で、明らかに怪しいおっさんが話しかけてきたよー。



「怪しくなどないわ!わしは神様じゃ!と言うか、聞こえておるぞ。そういうことは心の中で思うものじゃ。」

「…。」

「…なんか言え。」

「精神科の先生紹介してやろうか?」

「バカもん。わしはおまえを助けに来たのじゃぞ?おまえは命の恩人を疑うのか!?さっきから、ワシの扱いがひどくないか?」

「仕方ねーよ。怪しいし。それに、まだ助けてもらったわけじゃないし、おっさんに助けるだけのパワーがあるようには見えないんだけど?」

「ほう。なかなか言うじゃないか。そうじゃな。なら、まずは助けてやろう。ほれ。」



おっさんが変な杖を、二人の間の砂漠に突き刺す。

すると、景色が変わり森の中に戻ってきた。


「どうじゃ?信じる気になったか?」


おっさんはめっちゃ誇らしげにおれに言う。


「おー。すげー。ところでさァ、おっさん。おまえ、いつからおれのこと見てた?」

「は?どうしたというのじゃ?」

「だって、おっさんはおれを助けに来たんだろ?いつから見てた?」

「えっとな、たしか『前はー砂漠かー。』辺りからじゃ。」

「おまっ…それめっちゃ最初じゃん!最初からいたんならもっと早く助けに来いよー。」

「わしをバカにしたくせによく言うわ。それじゃ、わしは行くとするかの。悪魔退治、頑張ってくれの。」

「おう。ありがとな、おっさん。」


お礼を言うと、おっさん…いや、神は段々消えていく。

消えた。


……。


おー、まじで神様だったとか?…あ。




「ちょっと、待てやおっさん!おまえ神なら自分で悪魔退治しろや!戻ってこい!クソジジィ!」




叫んでも、戻ってこなかった。


「もっと早く、気がつけばよかった…。」

















あとがきという「ごめんなさい」

やっとこ第三章ですよ。
これ、神様が出てきましたが、実際の神様があんなんだったらイヤですね。
こんなものでも、読んで下さってありがとうございます!!
苦情はイヤですが、感想とかもらえると嬉しいです。

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